IT業界構造を体系化!SE転職の場合には業種・業態に要注意!!

社内SEになるには

IT業界ってよくわからない!

 

組込系、汎用系、オープン系、Web系って何が違う?

SES、SIer、自社サービス開発ってどれが良いの?

SE、PG、PM、NEって何の略?

 

IT業界というのは非常に曖昧な定義であり、ひとくちにIT業界と言っても会社や業態によって仕事内容は大きく異なります。転職してから「思ってた仕事と違う!」といったことがないようにしたいですよね。

満足のいく転職にするためには、社内SEに限らずIT業界全体についてしっかりと理解して、今後どのようなキャリアを積んでいきたいのかという転職活動の軸を持っておくことが重要です。

私自身も社内SEに限らずIT業界全般を視野に入れて転職活動を行っていましたので、その際に調べた内容を紹介していきます。

IT業界の業種・業態

IT業界の業種業態は複雑であり、厳密に分類していくとさらに細かく分類することもできますが、ここでは【業務分野】、【職種】、【業態】にわけて説明をしていきます。

 

システムエンジニアの業務分野

システムエンジニアはモノづくりを行う職人のような仕事です。ただ一口にシステムエンジニアといっても作るモノは分野によって様々です。おおまかに業務分野を分類すると以下のようになります。分野毎によく使用されるプログラム言語が異なります。

■業務分野の分類

分類概要主な言語
組込系(エンベッド)・制御系家電や自動車などに組み込まれる電子機器上で動くソフトウェアの開発。IoT推進で需要は高いが高度で専門的な技術が求められることや他社使い回しがまわしができないなど敷居が高い。C、C++、アセンブラ
汎用系(メインフレーム)昔々パソコンが一般的でなかった時代に、集中管理されたホストコンピュータで電算処理を行っていたもの。主に金融機関の基幹システムを担当するエンジニア。将来性は皆無。COBOL、PL/I
オープン系(業務系)汎用系の対極。標準化された規格(WindowsやLinux)を用いて開発されるもの。

一般的に業務系といわれる企業活動の事務業務をシステム化する場合はオープン系やWeb系で構築されることが多い。

Java,C#,PHP,Python,

Ruby,Perlなど幅広い

Web系オープン系のうち、インターフェースとしてWebが採用されているもの。Javascript,Java,PHP,

Python,Ruby,Perl

組込系や制御系、汎用系について言及する場合には、あらかじめ説明が入ることがほとんどです。具体的に業務分野について言及されていない限り、オープン系(Web系含む)のことを指しているといってよいでしょう。

オープン系の中でも、従来はクライアント/サーバ型のシステムがメジャーでしたが、改修のたびにクライアントPC側のモジュールの入れ替え作業などが発生するなどの負担からWebシステムが主流になってきています。この傾向は今後より一層強くなるでしょう。

 

 

エンジニアの職種

システム開発プロジェクト1つをとっても様々な役割の人が関与しています。一緒くたにしてSE(システムエンジニア)と呼ばれることもありますが、詳しく分類するとエンジニアの職種は以下のように分類されます。

■職種の分類

分類読み方役割
NEネットワークエンジニアLAN、インフラ基盤、電話回線などの構築を担う縁の下の力持ち的存在
PGプログラマプログラミングによってモノを作りあげる専門技術職
SEシステムエンジニアシステム設計や行程管理を担う。担当範囲が曖昧な場合も多く、全工程に関わるゼネラリスト。
PL/PMプロジェクトリーダー/マネージャコストや進捗の取りまとめを行うマネジメント役。PJ全体に対して責任を負う。
SA(ITコンサル)システムアナリスト/コンサルタントシステム開発の最上流工程を担う。経営戦略をもとにシステム企画提案を行う。
CEカスタマエンジニア保守点検や不具合対応など導入後のサポート業務を担う。
プリセールスプリセールスIT知識を用いた専門的な説明や営業サポートを行う。

必ずしもすべての職種が関与するわけではなく、プロジェクトの規模や企業文化にもよります。実際にはSE1人で、ネットワークもプログラミングも進捗管理も何もかも担当するようなハードな会社もあるようです。

転職の際は自分がどの職種で働くことになるのか、具体的に働くイメージが持てるようにしておきましょう。

 

システムエンジニアの業態(労働形態)

 

続いてエンジニアが所属する企業の業態(エンジニアの労働形態)について説明します。

IT業界におけるエンジニアの労働形態は、以下のいずれかに当てはまります。

■業態(労働形態)の分類

分類概要契約形態
客先常駐・SES(システムエンジニアリングサービス)エンジニアを派遣し労働力を提供することで対価を得ます。エンジニアは他社へ常駐しながらシステムに関するサポートを行います。準委任契約
受託開発・SIer(システムインテグレータ)他社のシステム開発案件を請け負って開発を行います。成果物と引き換えに対価を得ます。請負契約
自社サービス開発自社のサービスや製品を開発し、それを売ることによってお金を稼ぎます。労働契約(雇用契約)

なお、フリーランスの場合には、請負契約か委任契約のどちらかで契約を結ぶことになります。請負契約の場合には成果物の完成義務があるため、瑕疵担保責任を負うことになります。

 

IT業界への転職ではココに注意すべし!

 

もっとも気を付けたいのは、システムエンジニアの業態(労働形態)です。

客先常駐・SESからは、抜け出せない!

SESの仕組みは、エンジニアを正社員として雇用し、他社に派遣することで収益を得ます。雇用されたエンジニアは多くの場合、派遣先のオフィスで働くことになるため客先常駐と呼ばれます。
本来であれば「プロジェクト毎に適正スキルを持ったエンジニアを、必要な人数だけ派遣する」というとても効率的なビジネスモデルですが、残念ながら実際にはそうはなっていないのが現状です。

SESは準委任契約であるため、成果物に対する完成責任がありません。そうするとエンジニアは決められた時間までただそこにいるだけで対価が発生します。そのせいかSES企業は、「スキルが無くてもいいから、とにかく人だけ集めて送り込もう」という安易な考えとなりがちです。そして見合ったスキルの無いエンジニアが高度なスキルを求められる現場に送り込まれて、炎上するいったことが起こりがちです。

さらには契約を委託されたSES会社から別のSES会社へ委託されるといったようにSESの業界自体が多重下請け構造となっている場合が多く、本来もらえるはずの給料から中抜きされてしまい、末端で働くエンジニアは極めて低賃金となるケースもあります。また、派遣される客先にも拠りますが、雑用ばかり任されてスキルが身につかないこともあります。なお、これらが相まってITドカタなどと呼ばれることもあります。

 

SESのメリットは、未経験でも入社しやすいことです。まったくスキルが無い場合や未経験の場合には、足掛かりとして働くのもありかもしれません。ただし、スキルがつくかどうかも客先次第な面もあるため、保証はありませんので十分に検討した上で入社するようにしましょう。

 

悪く言われることの多いSESですが、過去の悪行がインターネットに晒されてきたことで徐々に業界構造は改善してきているようです。需要は今後もありますので、業界としては衰退することはないでしょう。転職の際は経営方針や取り合う案件などをしっかりチェックするようにしましょう。

ただやはり、この業界から抜け出してキャリアアップを図ることはとても大変なことなので、個人的にはあまりオススメしません。

 

似て非なる受託開発とSIer

受託開発とは、他社からシステム開発の仕事を請負契約で受注し、自社内で開発して成果物を納品することで報酬を得ることです。

SIerとは、ソフトウェアやハードウェアを組み合わせて、それぞれの機能が正しく動くように1つのシステムとして統合する事業を行う企業群のことを指します。よってシステム開発プロジェクトの上流から下流までの一連の工程を受け持つことが多いです。

受託開発において成果物を作るには、まずは顧客から要件を聞いて仕様を決めなければなりません。このようにシステム開発の上流工程から下流工程までを請け負うこととなるため、受託開発=SIerとなるケースが多くなります。

直受けで案件を受けている企業が比較的多く、予算の中抜きを避けられた分がお給料として還元される場合もあります。

 

必ずしも受託開発=SIerというわけではありません。

銀行などで基幹システムや各サブシステムの改修が入る大規模なプロジェクトでは、各サブシステムはそれぞれのベンダーに請負契約で発注して、全体のプロジェクト管理をSIerが担当する場合もあります。この時のSIerは準委任契約となる場合もあります。

また、SIerが元請けとして案件を受注した後に、SESに二次発注される場合もあります。転職活動においては、取り扱う案件が元請け/二次請けなのか?請負契約なのかどうか?をきちんとチェックするようにしましょう。

 

SIerは、忙しさとプレッシャーで疲弊する

SESとSIerの働き方における大きな違いは、成果物に対する完成責任の有無です。

受託開発では成果物に対してお金をいただくため、極論を言えばモノさえ作ってしまえば、残った時間は仕事しなくてもいいということになります。このことは、SESのように時間を拘束されてしまうよりも、魅力的に映るかもしれません。

しかし裏を返すと、モノさえ作れるならば1人のエンジニアが複数のプロジェクトを掛け持ちしてもよいということです。事実、ほとんどのSIerのエンジニアは複数プロジェクトを担当しています。

多くのSIerの営業は競合企業相手にコンペで勝つために、まともにやったら利益が出ないような安い工数で仕事をとってきます。そのため1人のエンジニアが複数のプロジェクトを掛け持ちしなければ、利益がでないといった構造になっているのです。実際にこのような会社は山のように存在します。

 

また、SIerはとにかく忙しいためスキルアップに時間を充てることが難しいです。そのため、そもそも地のスキルが無い人には厳しい環境となります。なにしろ成果物に対して完成責任があるため、もしできなかった場合には賠償責任が発生するのです。そのため顧客や上司から「どうなってんだ!」「明日までに何とかしろ!」などと強いプレッシャーを受けることも多いです。

 

仕事のできる人に仕事が集まり忙しさで疲弊して潰れていきます。反対に、仕事のできない人は、仕事ができないことのプレッシャーや「会社のお荷物!」などの罵声によって疲弊して潰れていきます。

このような業界構造が理由で、仕事ができてもできなくても、身体を壊したり精神的に参って辞めてしまうパターンが本当に多いです。SIerに真に必要なのは何事にも動じない鋼の肉体と精神なのかもしれません。

SIerは比較的給与水準も高く魅力的ではありますが、転職する場合には覚悟を持って臨んでください。

 

自社サービス開発

自社サービス開発とは、自分たちで0→1の価値を作り出す会社です。ここでいう自社サービスを「プロダクト」と「Webサービス」の2つに分けて解説していきます。

プロダクト開発(組込系・制御系)は、衰退産業

組込系や制御系などの分野で特定の製品(プロダクト)を作っているパターンです。

この分野はどのような製品を扱っているかにもよりますが、既に成熟しきっており縮小を始めている産業も多いです。今後の発展は見込めない分野も少なくありませんので、転職しようとしている場合には、業界選びがなにより重要になってきます。

 

この分野は少し前までは専門技術が求められたため給与水準も高かったようです。またIoTの流行でどんな製品もインターネットで繋がる時代の到来により、エンジニアの需要が高まると紹介されることもありました。

しかし、エンジニアの需要は下がっています。これは近年の技術の進歩によってこれまでのような専門的な技術がなくとも誰でもものづくりできるようになる(例えば3Dプリンタで電子基板を作れるようになった)など、求められる技術のハードルが下がったためです。今後さらにエンジニアの価値が下がっていくでしょう。

 

また、景気や商品の売れ行きの影響をダイレクトに受けます。少し昔にニュースなどで耳にしたリストラや派遣切り問題も、ほとんどが製造業のエンジニアでした。今後もリストラや倒産のリスクは高まります。最近の流行でもあるサブスクリプション化に順応していけない企業などは、今後の経営危機は免れないでしょう。

また、勤務地が地方の工場勤務だったりするのが地味にきついです。

あえてこの業界に飛び込んでいく場合には、会社の業績だけでなく、業界自体の発展性をチェックするようにしましょう。

 

Webサービスは、一生勉強

メルカリやZOZOなど世間に注目される画期的なサービスを生み出す最先端企業。注目されるベンチャー企業のほぼすべてがWeb系のサービスを扱う企業です。

これらの企業では、給与や福利厚生が手厚かったり残業が少ない場合が多いです。

 

しかし残業が少ないことは、仕事が楽という意味ではありません。むしろ、業務後に自主的に勉強するくらい好きでないと続きません。

Web系の企業に籍を置く場合、常に最先端のスキルを勉強していかなければなりません。新しい技術にもどんどんチャレンジしている企業が多く、エンジニアとして成長したい場合にはよい環境だと思います。しかし、一生涯の仕事としてやっていけるかを一度考えてみてください。

 

また、いまや様々なサービスが生まれ消えていっていますが、そのたびに会社も一緒に消えていることを胸に刻んでおく必要があります。ベンチャーの90%以上が10年以内に倒産しています。いつでも別の会社に乗り換えられる準備しておきましょう。

 

ベンチャー系の会社では、予算の都合上、最低限の人員で業務を回していることが多いです。
そのような会社では未経験者を一から育てる余裕がないため、多くの場合は経験者のみを募集しています。未経験者歓迎の場合は何か裏がある場合も多い為、雇用条件などはしっかりと確認してから転職しましょう。

 

それぞれの業界・業種におすすめの転職サービス

ここまでそれぞれの業種・業態の注意点について説明してきました。悪い点ばかり強調されており、どこにも行きたくないと感じてしまったかもしれませんが、必ずしも悪い会社ばかりではありません。

伸びる会社なのか、社員のことを考えてくれる会社なのかを見極めるには、業界・業種についてきちんと理解した上で自分の目で見て判断してください。

会社の情報を仕入れるには、一人で探すのは限界があります。そんな時は転職エージェントを利用しましょう。それぞれの分野で得意なエージェントが異なりますので、使い分けてみてください。

 

・SES → 中堅~大手

・SIer → ハイクラス系

・プロダクト →大手

・Web → Grreen、Wantedly、Twitter転職

 

IT業界における社内SEの立ち位置

IT業界にはいろいろな業種・業態の会社があり、それぞれメリットとデメリットがあることが理解できたかと思います。その上で、私は社内SEという職を選択しました。

社内SEという働き方のメリット・デメリットについては、別の記事で記載していきます。

 

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